業界別の金型交換装置の活用事例

目次
もっと見る

金型交換における課題は、取り扱う重量や求められる清浄度、ミクロン単位の据付精度など、業種ごとにその性質が大きく分かれます。
本記事では、各業界特有の制約を解消するために必要な装置性能や選定の判断基準を整理しました。

自動化を起点とした稼働率の向上、あるいは労災リスクの低減といった、現場にもたらされる具体的な改善効果を提示します。

現場の制約を打破する業界別の金型交換改善事例

自動車部品:超重量物の迅速な段取りと安全確保

数トンから数十トンに及ぶ金型を扱う現場では、分単位の段取り短縮と重大災害の防止が命題です。

油分の多い環境下でも高精度な位置決めを維持できる装置や、天井クレーンに頼らない搬送台車を採用することで、タクトタイムの短縮と吊り作業のリスク低減を両立。熟練工の勘に頼らない確実な型合わせを実現します。

医療機器:クリーンルーム対応と多品種生産の維持

医療分野の成形現場では、非発塵性や清掃性に優れたサニタリー設計が選定の要点となります。
多品種小ロット生産に対応するため、小型成形機が並ぶ狭小なスペースでも旋回可能な無軌道式台車などが有効です。

自動位置決め機能の活用により、作業者の接触による汚染を防ぎ、衛生的な環境下での高稼働を支えます。

電子部品:高密度ラインへの後付けと精密位置決め

設備が密集する電子部品業界では、既存レイアウトを維持したまま導入できる省スペース設計が欠かせません。

1日に数回発生する段取り替えに対し、ミクロン単位の据付精度を持つ装置を導入すれば、繊細な金型の破損を防ぎつつジャストインタイム生産を支える運用が可能。静電気やノイズへの配慮も重要な選定基準となります。

金型交換装置導入後の定量的な効果

金型交換の自動化は、目に見えて大きな効率化が図れる施策です。以下に、導入による効果をまとめました。

主な改善内容 導入前 導入後の効果
停止時間・工数の削減 停止時間30分 11分(約63%短縮)、総工数も半減※1
交換時間の大幅短縮 手作業で40分 自動化によりわずか3分へ短縮※2
生産性の向上 - 自動段取りにより生産性が20~30%向上※3

表の通り、明確な効率化が見て取れます。自動化による効果をより知りたい方は下記をご覧ください。

※1 参照元:ニチエツ「金型交換装置による生産性向上」【PDF】(https://jpvn.co.jp/wp/wp-content/uploads/2021/09/金型交換装置による生産性向上(ニチエツ株式会社).pdf
※2 参照元:住友重機械工業公式HP(https://www.shi.co.jp/plastics/blog/jp-0008.html
※3 参照元:アマダ公式HP(https://www.sheetmetal.amada.co.jp/column/case/case05/

「自社の設置環境」を基準に、最適なパートナーを絞り込む

取り扱う金型の重量や工場の清浄度、ラインの密集度合によって、交換装置に求めるべき機能は多岐にわたります。超重量物を確実に支える剛性、クリーンルームでの非発塵性、あるいはミクロン単位の据付精度など、現場の物理的な課題ごとに優先すべき評価軸を定めることが欠かせません。

現場の運用と装置スペックの間にわずかな食い違いがあるだけでも、稼働後のサイクルタイムが目標に届かなかったり、保守点検の負担が想定を上回ったりするリスクを孕みます。

自社の課題解決に直結する仕様を見極めることが、結果として安定稼働と早期の投資回収につながるでしょう。自社の課題に合わせた装置の絞り込みには、下記の内容も参考にしてください。

   
現場の課題別で選ぶ
おすすめの金型交換装置・システム3選
   

ここでは、課題になりやすい「設置スペース・運用・設計」において、解決に導く3つの製品を紹介します。

通路が狭く
レイアウト変更できない
ニチエツ
無軌道タイプ
(MMCシリーズ)
ニチエツ 無軌道タイプ(MMCシリーズ)
引用元:ニチエツ公式HP(https://jpvn.co.jp/non-track/)
対応荷重量 0.4 ~ 2.5t
必要型締力 ~4,500kNクラス
こんな現場におすすめ
  • 通路幅が狭く、成形機の横に設置スペースがない
  • 大掛かりな床工事やレイアウト変更をせず、手軽に導入したい
おすすめの理由
  • W566×D772×H1,421mmのコンパクト設計と従来の装置の1/3の旋回面積によって、狭い通路でも切り返しなしでスムーズに走行。レイアウトを変えずに段取りを自動化できる。
  • 独立走行と高さ調整ができるため、クレーン不要で一人で即座に交換が可能。クレーン待ちの時間を削減し、稼働率の向上を図れる
配管が複雑
接続ミスを防げない
ストーブリ
手動式金型搬送台車
ストーブリ
引用元:ストーブリ公式HP
(https://www.staubli.com/jp/ja/quick-mold-change/manual-mold-loading-vehicle-mlv.html?f1=divisions%3Afluid-connectors%2Fexternal%2Fproduct-name%2Fmlv)
対応荷重量 0.7t
必要型締力 要お問い合わせ
こんな現場におすすめ
  • 配管の接続やクランプの固定ミスを物理的にゼロにしたい
  • カプラやクランプの制御、故障時の対応まで一括で委託したい
おすすめの理由
  • マルチカプラによる一括接続で、高度な知識がなくても正確な配管作業が完了。作業者の習熟度に依存せずに、接続不良による水・油漏れや設備故障を防ぐ。
  • 海外拠点でのトラブル時も迅速な現地対応が可能。世界29カ国に拠点を持ち、50カ国以上の代理店を展開※1しているため、遠隔地でも長期停止リスクを解消できる。
現場が特殊で
標準機では合わない
洲崎電機製作所
金型交換装置
洲崎電機製作所
引用元:洲崎電機製作所
(https://www.susaki-e.co.jp/product/)
対応荷重量 (例)~30t
※特注対応のため
要問い合わせ
必要型締力 ※特注対応のため
要問い合わせ
こんな現場におすすめ
  • 建屋の柱や既存配管を避けた設計など特殊なオプションが必要
  • 新設・既設機・中古機に限らず、装置を合わせて設計したい
おすすめの理由
  • 標準機を持たず、全てオーダーメイドでの設計。柱や配管が干渉し、標準機では対応不可と判断された現場でも、専用設計で導入できる。
  • 創業72年※2の知見により旧型機や中古機へのレトロフィットにも対応。コストを抑えながら、条件に合わせた設備にアップデートできる。
※1 参照元:ストーブリ公式HP|2026年3月時点(https://www.staubli.com/global/en/about-us/who-we-are/our-locations.html
※2 参照元:洲崎電機製作所【PDF】|2026年3月時点(https://www.susaki-e.co.jp/susaki-2023.pdf
現場の課題に応じて選ぶ
金型交換装置3選