家電業界の金型交換

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家電製品を構成する部品には、射出成形された樹脂外装や、プレス・曲げ加工された金属筐体などがあります。生産する製品や部品の切り替えに伴って金型交換が発生するため、交換作業に時間がかかると、その間は加工設備を稼働させられません。

ただし、家電製造で使用できる金型交換装置は一種類ではありません。射出成形機とプレス機・ベンディングマシンでは、対象となる金型や交換方法が異なります。

家電製造に金型交換装置を導入するときは、対応機械、金型の重量・寸法、工場内の設置スペース、配管接続を含む自動化範囲を確認することが重要です。本記事では、家電業界で金型交換が発生する工程、検討できる装置の製品例、装置に求められる要件を紹介します。

参照元:中小企業庁「平成25年度戦略的基盤技術高度化支援事業」(https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/sapoin/portal/seika/2011/23152604058.pdf)

参照元:中小企業庁「プラスチック成形加工に係る技術に関する事項」(https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/sapoin/download/shishin/s04.pdf)

家電業界で金型交換が発生する主な工程

家電製造の金型交換は、樹脂部品を扱う射出成形と、金属部品を扱うプレス・曲げ加工に分けて考えると、必要な装置を整理しやすくなります。

樹脂外装や樹脂部品の射出成形

射出成形では、製品形状に応じた金型を成形機へ取り付け、溶融した樹脂を金型内へ充填して部品を成形します。生産する部品を切り替える際には、使用中の金型を搬出し、次の金型を成形機へ搬入する作業が必要です。

金型交換装置を選ぶときは、成形機の型締力だけでなく、金型の重量・寸法、成形機への搬入方向、成形機周辺のスペースを確認します。

温調配管やホットランナーコントローラーを使用している場合は、金型搬送だけでなく、接続作業や予備昇温まで装置側で対応できるかも確認が必要です。

金属筐体やパネルのプレス・曲げ加工

家電製品に使われる金属筐体やパネルの加工では、プレス機やベンディングマシンが使用されます。プレス加工ではダイセットの搬出入、曲げ加工ではパンチとダイの選択・配置・装着が段取り作業になります。

プレス用の金型交換台車と、ベンディングマシンに内蔵された自動金型交換装置では、対応する作業が異なります。金型全体を交換したいのか、曲げ加工用のパンチとダイを交換したいのかを明確にしたうえで製品を選ぶ必要があります。

家電業界向け金型交換装置の製品例

ここでは、家電製造で想定される射出成形、板金プレス、曲げ加工に対応する製品例を紹介します。

掲載製品は、各メーカーの公式情報で確認できる対応機械と機能を基に選定しています。家電業界への導入実績を示すものではないため、自社設備への適合可否はメーカーへの確認が必要です。

ニチエツ|金型交換装置

ニチエツの無軌道タイプ金型交換装置
引用元:ニチエツ公式HP
https://jpvn.co.jp/non-track/

ニチエツは、射出成形機向けに複数方式の金型交換装置を展開しています。公式資料では、両側タイプ、片側軌道タイプ、片側軌道ステージ移動タイプ、片側固定ステージ移動タイプ、無軌道タイプの5方式を確認できます。

片側軌道タイプは、対象成形機の目安が30~500T程度で、構成に応じて手動から自動まで選択できます。オートカプラや金型待機台を組み合わせることも可能です。

金型温調器やホットランナーコントローラーを接続した構成では、生産切り替え前に金型を予備昇温できます。生産中に次の金型を準備する外段取りを取り入れたい家電部品工場では、成形機を停止してから行う作業を減らすための選択肢になります。

無軌道タイプは、対象成形機の目安が30~130T程度で、1台の装置で複数台の成形機をカバーできる構成です。金型搬送時には金型を低い位置に保ち、交換時に成形機の高さに合わせてステージを上昇させます。

昇降は電動式で、対象成形機の選択に応じて高さを自動調整する機能もオプションとして用意されています。そのため、小型・中型成形機で複数種類の樹脂部品を製造し、成形機間の通路や床面工事に制約がある現場で検討しやすい製品です。

ただし、無軌道タイプで対応できる金型サイズには制限があります。金型重量・寸法や成形機との適合性をメーカーへ確認したうえで選定してください。

参照元:ニチエツ公式資料「金型交換装置による生産性向上」

参照元:ニチエツ公式HP(https://jpvn.co.jp/mold-changer/)

マキテック|MQMC・MQDC

マキテックの射出成形機用金型交換装置MQMC
引用元:マキテック公式HP
https://www.makitech.co.jp/conveyor/index-6.html

マキテックは、射出成形機用のMQMCと、板金プレス用のMQDCを展開しています。家電製造における樹脂部品と金属部品の両方について、金型交換システムを検討できるメーカーです。

公式サイトに掲載されているMQMCの構成例は、850tonクラスの射出成形機と15,000kgの金型に対応しています。2型搭載式の両振り交換台車、予備温調装置、ユニット式走行レールを備えた構成です。

MQDCの掲載例は、200tonクラスの板金プレスと3,000kgの金型に対応しています。2型搭載式の昇降テーブル型交換台車に加え、スネークチェーン式の搬出入機構と上下2段のテーブルを備えています。

また、一型搭載、二型搭載、固定架台、横行式台車、バッテリー台車などのシステムバリエーションが掲載されています。金型条件や生産形態、工場レイアウトに合わせた構成を選び、出荷前に金型を使った試運転を相談できる点も特徴です。

家電製造で採用を検討する場合は、樹脂成形ラインにはMQMC、金属部品のプレスラインにはMQDCというように、対象工程を分けて選定します。

参照元:マキテック公式HP(https://www.makitech.co.jp/conveyor/index-6.html)

参照元:マキテック公式HP「MQMC・MQDC・システムバリエーション」(https://www.makitech.co.jp/conveyor/6/mqmc.html)

参照元:マキテック公式HP「金型交換システム実例集」(https://www.makitech.co.jp/conveyor/6/cases.html)

アマダ|EGB-ATCe

アマダの自動金型交換装置を搭載したEGB-ATCe
引用元:アマダ公式HP
https://www.sheetmetal.amada.co.jp/lineup/bend/egb-atce/egb-atce.html

アマダのEGB-ATCeは、自動金型交換装置を内蔵したベンディングマシンです。金型交換台車ではなく、板金の曲げ加工で使用するパンチとダイの交換を自動化する設備として位置づけられます。

公式サイトでは、従来機と比べて金型積載量を30%増やしながら、省スペース化した構成と説明されています。ATCシャッターの開閉自動化や挟まれ防止機能も搭載されています。

EGB-6020ATCeでは、最大でパンチ18列、ダイ25列を搭載できます。加工プログラムに合わせて使用する金型を準備できるため、形状の異なる板金部品を切り替えながら生産する現場で、手作業による金型選択・配置の負担を減らす選択肢になります。

家電製造では、金属筐体やパネルなどの曲げ加工で多品種生産を行っている場合に検討できます。ただし、射出成形金型やプレス機のダイセットを搬送する装置ではありません。対象工程を混同しないことが重要です。

参照元:アマダ公式HP「EGB-ATCe」(https://www.sheetmetal.amada.co.jp/lineup/bend/egb-atce/egb-atce.html)

参照元:アマダ公式HP「商品ラインナップ」(https://www.sheetmetal.amada.co.jp/lineup/)

家電業界の金型交換装置に求められる要件

家電業界向けの金型交換装置を選定するときは、「家電業界に対応しているか」という業界名だけで判断せず、実際の加工工程と設備条件を整理する必要があります。

対象となる加工工程を確認する

最初に、交換したいものが射出成形用金型、プレス機用ダイセット、曲げ加工用のパンチ・ダイのどれに当たるかを確認します。

樹脂部品を製造する場合は射出成形機向け、金属部品をプレス加工する場合はプレス機向け、板金の曲げ工程を自動化する場合はベンディングマシン向けの装置が候補です。

金型と既存設備の仕様を照合する

装置メーカーへ相談する際は、対象機械、金型重量、金型寸法、取り付け面の高さ、搬入方向を整理します。射出成形機の場合は、型締力、盤面寸法、タイバーとの干渉、温調配管なども確認が必要です。

プレス機の場合は、ボルスタ寸法、T溝や固定穴の位置、クランプ方法、金型を搬出するための可動域を確認します。仕様が一致しなければ、装置を設置できても金型を安全に固定・交換できない可能性があります。

搬送経路と設置スペースを確認する

金型交換装置本体の寸法だけでなく、装置が走行・旋回するための通路、金型待機場所、保守作業用のスペースを確認します。

レール式は決められた経路で運用しやすい一方、床面工事や設置場所の確保が必要になる場合があります。無軌道式は複数の成形機をカバーしやすい方式ですが、通路幅、床面状態、金型を積載した状態での走行経路を事前に確認する必要があります。

自動化する作業範囲を決める

金型交換の自動化には、金型の搬送・搬出入だけでなく、クランプ、配管接続、成形条件の呼び出し、予備昇温などが含まれる場合があります。

すべてを一度に自動化する必要があるとは限りません。現在の段取り工程を分解し、機械を停止している時間が長い作業や、安全上の負担が大きい作業から優先すると、必要な装置構成を判断しやすくなります。

現場条件に合った金型交換装置を選定する

家電業界では、樹脂外装、樹脂機構部品、金属筐体、板金パネルなど、製造する部品によって使用する機械と金型が異なります。そのため、家電業界向けという括りだけで装置を選ぶのではなく、加工工程、金型条件、既存設備、工場レイアウトを基に比較することが重要です。

設置スペースや既存設備との相性など、現場の課題から製品を絞り込みたい場合は、以下のページで金型交換装置を紹介しています。

現場の課題別で選ぶ
おすすめの金型交換装置・システム3選

ここでは、課題になりやすい「設置スペース・運用・設計」において、解決に導く3つの製品を紹介します。

通路が狭く
レイアウト変更できない
ニチエツ
無軌道タイプ
(MMCシリーズ)
ニチエツ 無軌道タイプ(MMCシリーズ)
引用元:ニチエツ公式HP(https://jpvn.co.jp/non-track/)
対応荷重量 0.4 ~ 2.5t
必要型締力 ~4,500kNクラス
こんな現場におすすめ
  • 通路幅が狭く、成形機の横に設置スペースがない
  • 大掛かりな床工事やレイアウト変更をせず、手軽に導入したい
おすすめの理由
  • W570×D780×H1,435mmのコンパクト設計と従来の装置の1/3の旋回面積によって、狭い通路でも切り返しなしでスムーズに走行。レイアウトを変えずに段取りを自動化できる。
  • 独立走行と高さ調整ができるため、クレーン不要で一人で即座に交換が可能。クレーン待ちの時間を削減し、稼働率の向上を図れる
配管が複雑
接続ミスを防げない
ストーブリ
金型交換装置と
自動配管接続/自動クランプ
ストーブリ
引用元:ストーブリ公式HP
(https://www.staubli.com/jp/ja/robotics/industries/plastics.html)
対応荷重量 要お問い合わせ
必要型締力 要お問い合わせ
こんな現場におすすめ
  • 配管の接続やクランプの固定ミスを物理的にゼロにしたい
  • カプラやクランプの制御、故障時の対応まで一括で委託したい
おすすめの理由
  • マルチカプラによる一括接続で、高度な知識がなくても正確な配管作業が完了。作業者の習熟度に依存せずに、接続不良による水・油漏れや設備故障を防ぐ。
  • 海外拠点でのトラブル時も迅速な現地対応が可能。世界29カ国に拠点を持ち、50カ国以上の代理店を展開※1しているため、遠隔地でも長期停止リスクを解消できる。
現場が特殊で
標準機では合わない
洲崎電機製作所
金型交換装置
洲崎電機製作所
引用元:洲崎電機製作所
(https://www.susaki-e.co.jp/product/)
対応荷重量 (例)~30t
※特注対応のため
要問い合わせ
必要型締力 ※特注対応のため
要問い合わせ
こんな現場におすすめ
  • 建屋の柱や既存配管を避けた設計など特殊なオプションが必要
  • 新設・既設機・中古機に限らず、装置を合わせて設計したい
おすすめの理由
  • 標準機を持たず、全てオーダーメイドでの設計。柱や配管が干渉し、標準機では対応不可と判断された現場でも、専用設計で導入できる。
  • 創業72年※2の知見により旧型機や中古機へのレトロフィットにも対応。コストを抑えながら、条件に合わせた設備にアップデートできる。
※1 参照元:ストーブリ公式HP|2026年3月時点(https://www.staubli.com/global/en/about-us/who-we-are/our-locations.html
※2 参照元:洲崎電機製作所【PDF】|2026年3月時点(https://www.susaki-e.co.jp/susaki-2023.pdf
現場の課題に応じて選ぶ
金型交換装置3選